神は愛なり 尾崎元海
窓越しに見える隣家の紅く染まった楓(かえで)の大木。
晩秋から初冬にかけて日毎色付き、
眺める私の目を楽しませてくれる。
ある日のこと、しばらく見ていると
雲の透(す)き間から木漏(こも)れ日が差し込んできた。
太陽の光のきらめきが紅い葉っぱに
降り注ぎ、周囲を照らし始めた。
その光景はまるで一幅(いっぷく)の名画のようで、
魂の奥に美なる響きが染み入ってくる。
自然界の小さな小さな一隅の中に
展開する大生命の造化の妙。
果たして創造主たる神は誰のために
このような美しい姿を演出したのであろう。
それは唯一つ、自己のいのちを分けた
人間に限りない喜びを与えることと、
神の子たる真実を知らせたいからなのだ。
神は偏在遍満(へんざいへんまん)し、あらゆる手を尽くして
人間の魂を鼓舞し給う。
わが子よ目覚めよ。汝らは神の子なり。
来る日も来る日も、無音の大音声が
大宇宙に轟(とどろ)き渡っている。
(風韻誌2009年1月号 収録)